怖い虎の顔をした魚のような想像上の生き物を模した鯱瓦が、姫路城大天守には大小11個が掲げられています。
最上階の大棟には、昭和の大修理の際に見つかった、1687年(貞享4年)と銘文に記された小型の鯱を基に、復元された大きな物が掲げられています。
その大きさが実感できる、下の写真のような昭和の鯱実物大パネルが展示されていました。そこにサイズは下記のよう示しています。
高さ | 6尺1寸5分(約186cm) | |
---|---|---|
重さ | 総重量 | 約278kg |
胴体 | 約202kg | |
尾鰭 | 約42kg | |
鰭(上) | 約7kg×2枚 | |
鰭(下) | 約10kg×2枚 |
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下は、平成の大修理が行われていた2011年に特別公開されていた物を撮影しました。左から、1803年製作と銘文に記されているという江戸時代の物。中央は1910年製で、昭和の大修理の際に下ろされました。それに替わって上げられたのが右端の昭和時代ですが、これも平成の修理で下ろされました。
江戸 |
明治 |
昭和 |
平成の大修理が始まって、大棟から下ろされた昭和の鯱瓦は痛みがひどかったことから、それを完全にコピーしたものが日本伝統瓦技術保存会の協力の下、奈良県平群町の「山本瓦工業」の工場で製作されました。
2012年4月7日、昭和の大修理から約50年ぶりに新調された2体をお披露目する「祝曳き」が行われました。鯱を荷台に載せて紅白の祝い装飾をした軽トラックをロープで多くの人で引っ張るような感じで午前10時にJR姫路駅北口を出発。みゆき通り商店街を通って姫路城三の丸広場まで1時間程かけてパレードしました。
祝曳き |
祝 姫路城鯱瓦完成 |
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大棟に据付 |
平成の鯱瓦 |
当日の天候はくもりで一時的に小雨が降ることも有り、気温が10度前後と肌寒かったですが、多くの観衆で賑わいました。パレードには子供が引っ張る小さな鯱が乗った御みこしも加わっていました。
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姫路の街中に鯱瓦のレプリカやオブジェが設置されていますので少し紹介します。
城見台公園
姫路城を望むポイントでも紹介しています城見台公園の真中に、「姫路城大天守の鯱瓦 復元」と記された物がドンと設置されています。光洋製瓦株式会社製だそうです。
大手前通り
JR姫路駅からお城まで延びる大手前通りの東側歩道沿いに、金色目玉の迫力ある2体が設置されています。「国宝 姫路城大天守棟飾之鯱 貞亨四年在銘の旧鯱に倣ひ作之」と記されています。小林伝統製瓦のWebサイトによると、この鯱瓦は二代目小林平一と三代目義一の共作だそうです。
大手前通りと国道2号線との交差点付近の石碑の上にも小さな鯱が乗っていますが、ムクドリなど鳥の糞が付いて汚くなっています。「鳥のフンに注意!」と書かれた看板がすぐ横に立てられていました。
日本城郭研究センター
姫路城の西にある日本城郭研究センターの敷地内に、1体ずつ2ヶ所に置かれています。図書館の正面入り口と、中庭からの入り口付近です。下の右の写真で、鯱の胴体中ほどの鰭が取り外されています。さらに左側面の鰭は全て取り外されていました。2006年6月にセンターの敷地内に設置されている彫刻などと共に荒らされた事件の影響だと思います。
運河公園
姫路駅の南、姫路市役所付近の外堀川に沿った運河公園内に、高い台の上に載った「城陽翔鯱」が設置されています。城陽土地区画整理事業完工記念だそうです。
姫路警察署
駅から東へ1.5キロほど行った場所にある姫路警察署の玄関口に置いてあります。以前、警察署はお城のすぐ近くに在りましたが、2009年8月に今の場所に移転してきました。この鯱はその記念のようです。
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